30年間で変わった日本に対するイメージの変化 チャンスのはずなのに日本は腰が引けている

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 この30年以上、私は世界のあちこちを取材してきましたが、この10年で最も痛感することは、日本及び日本人に対するイメージが大きく改善したことです。理由の一つは3位になったとはいえ、高い経済力は半世紀以上続けてきたからです。近年はノーベル賞受賞者の多さでも他のアジア諸国を引き離し、高い評価を受けています。

 すでに20年前には、ヨーロッパでは日本の評価は高まっており、その前の「日本人はお金という洋服を着て歩いている」とか、「エコノミックアニマル」などのネガティブイメージは、大分払拭されていました。とはいえ、体が小さく、西洋人とは異なり、凹凸のない体系や地味な風貌がマイナスに働いていたことは事実です。

 ハリウッド映画での日本人は長い間、フジヤマ芸者的イメージで描かれ、スターに成れたのは武術の名手くらいで、黒人が主演を務めることはあっても、日本人が主演を務める一流映画はありませんでした。それに日本人役を中国人が務めることが多く、地味な日本人俳優は渡辺謙が出てくるまでは主役級の俳優はいませんでした。そこには身体的特徴も大きく影響しています。

 しかし、日本人が信頼度を増したのは、やはりビジネスの世界です。高品質で壊れにくい製品を作り、世界に提供し続けたことや、支払いや納期を守り、誠実さを理解してもらったことが非常に大きかったといえます。それは1960年代から日本経済を牽引してくれた先輩たちのおかげともいえます。

 さらにさまざまな世界貢献をしてきたことも影響しています。何よりもルールや法律、約束事を守り、嘘をつかないことが評価を高めたと思われます。私は何度も自分が日本人であることの信頼性の高さに助けられてきました。それが単なるイメージから本当の実力評価に繋がっているのも確かです。

 同時にそれまで世界を支配してきたアメリカとヨーロッパのプレゼンスが落ち、同時に中国が台頭してきた状況の中、日本が中国のような覇権主義でないことや民主主義と法の支配を守る国であることも理解され、大きな信頼に繋がっています。後は人権意識を高めることくらいです。

 ところがこの状況の中、私は2つの問題を感じています。まず、バブル崩壊後に生まれた世代は、一方で成熟した先進国で生まれ育ったために、かつてのように欧米先進国を仰ぎ見ることはなく、むしろ、治安の悪さや経済力が低いことで、過去に欧米に学んで日本が成長した経緯を忘れ「学ぶものなし」という認識を持つようになり、偏狭な独善的ナショナリズムを持っていることです。

 同時に彼らはバブル崩壊後の低成長、マイナス成長時代に育ったために「日本も、もうだめなんでしょ」という自信喪失状態にあり、向上心や意欲も失われ、世界に出ていって活躍したいというより、「海外行きたがらない症候群」に企業は悩まされています。

 2つ目は、今、経営のトップに就いているような狭間世代といわれる戦後10年が過ぎた辺りに生まれた世代で、安保闘争や浅間山荘事件、三島由紀夫の自衛隊での割腹自殺も全て中学、高校時代に終わり、だからといって完全にバブル世代にも入らない中途半端な世代です。

 彼らは世の中を変えようという正義感も、個性的生き方をしようなどいう勇気もない世代で、団塊世代の先輩にイエスマンで付いてきた世代です。会社が危機に瀕しても大改革を断行するだけの勇気も決断力もない世代です。当然、グローバルな意識はなく、欧米に対するコンプレックスだけはしっかりあり、グローバリゼーションを口で唱えながら内心、逃げ腰な世代です。

 60歳前後の外交官経験者は妙に海外に忖度し、日本の存在感や強い姿勢を示すのには及び腰です。河野前外務大臣が海外で強い態度に出ると、経験豊かな古いタイプの外交官は眉をひそめています。敗戦国として目立たず、自己主張しない、対立を極力避ける外交姿勢を正しいと信じてきた外交官たちは、日本の立ち位置の変化を理解しているとは思えません。それに彼らには正義感がもともとありません。

 私は個人的には、今は権力を持っている層とゆとり教育と偏狭なナショナリズムを持った世代の次の世代に期待しています。それは海外赴任者の企業研修などをしていて強く感じることです。ただ、若い世代に関していえば、日本の独善的で偏狭なナショナリズムは毒でしかありえないことを理解ほしいものです。欧米には本当の意味で文明的視点で今でも学ぶものはあるし、途上国に貢献する機会は非常に多くあると認識してほしいと考えています。

 せっかく世界的評価が高まった日本及び日本人として、いまこそ本当の意味で貢献ができる機会が与えられている時代です。それなのに敗戦後の卑屈な態度を引きずる狭間世代と、海外行きたがらない症候群の若い世代によって腰砕けになるのはとても残念です。

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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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