今必要な強いリーダーシップ 戦争、エネルギー危機、経済危機の課題解決のABC

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 ロシアのプーチン大統領がウクライナでの劣勢をごまかすため、ウクライナ東部の偽装住民投票や予備役の部分的招集に国内で踏み切ったことで、核兵器使用の可能性が高まっている段階に入りました。

 欧州理事会はロシアの国際ルールを無視した行動を絶対に許さない断固とした姿勢は「クレムリンによる核の脅威の脅しで揺らぐことなない」と断言しました。

 とはいえ、戦争の長期化は物価を高騰させ、ロシア産エネルギーとの決別のための供給源の再構築(リパワー)は、ヨーロッパの寒い冬には大きな試練となっています。

 特にコロナ禍同様、エネルギー政策をEU規模で行う具体的ルールが構築されていないEUでは、ロシア産天然ガス依存度の高い東側の貧しい国は悲鳴を上げていても、西側が積極的に支援する行動は見られません。エネルギーの安全保障はきわめて新しい課題です。

 EUだけではありませんがコロナ禍以降、国を率いる指導者のリーダーシップ不足は目に見えて世界で表面化しました。課題解決に無能な政府に嫌悪感を抱く有権者は、政策を単純化するポピュリズム政治家を選ぶようになり、世界が遭遇する複雑で新しい課題解決の能力が極端に劣る指導者も登場し、さらに世界を混乱に陥れています。

 リスクマネジメントの観点からすれば、危機に瀕した時のカギを握るのはリーダーシップです。国も企業も同じで、理由は厳しい決断を下す必要があるからです。日本的な落とし所を探るような意思決定ではなく、危機対応には最終的に決定を委ねられた1人の人物が決定を下す必要があります。

 それも高いリスクには高度な判断による意思決定が要求されるため、リーダーには高い見識も必要です。過去の優れたリーダーが、どのように決断を下し、成功したのか失敗したのかも知っておく必要があります。

 ポピュリズム政治家には無知な人物が多く、リーダーになれば、その権限で何でもできると勘違いする場合も少なくありません。

 30年間欧州を見てきた私も個人的にそう思いますが、BBCのブリュッセル駐在のアドラー記者も「今はEU内にリーダーシップをとれる指導者がいない」と指摘していることは頷けます。コロナ禍以前から指摘されていたことですが、日本同様、ヨーロッパも平和ボケしているといえます。

 自国中心主義が流行したのは、単にグローバリゼーションに疲れたからではなく、平和ボケして、自分の国さえよければいいという風潮が高まったからです。そのボケた意識に冷や水を浴びせかけたのがコロナ禍であり、ウクライナ戦争です。

 ところが危機に強いリーダーは選ばれておらず、無知で歴史を知らず、今の国際情勢の真実を理解する能力にも欠ける指導者だらけです。これでは危機に対処することはできないのは当然です。今は遠くの未来像を描きながらも、今何をすべきかというバックキャスティングのアプローチと決断ができるリーダーが必要な時代だと思います。


 
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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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