グローバルサウスを味方に! 異文化を尊重し、協業を促すリーダーシップが世界を動かす

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 ウクライナ紛争の先が見えない中、打つ手は軍事支援とロシア制裁が中心の西側先進国は、ロシア制裁にインドを中心としたグローバルサウスの国々が加わらないために、制裁が効果を上げられない現実に直面しています。米国か旧ソ連かを選択した20世紀の東西冷戦時代とは根本的に世界は変わっています。

 いずれにしても欧米先進国のいうことを新興国、途上国が従順に聞く時代ではないだけでなく、ロシア、中国にも完全に従うこともなく、それぞれの国が利害を計算しながら、独立して立ち回る動きが加速するのが世界の現実です。世界は先行き不透明なカオス化の様相を呈しています。

 経済成長目覚ましいグローバルサウスの国々は、コロナ禍にも耐え、今は復興のステージに入っています。コロナ禍のサプライチェーンの寸断などを経験し、先進国の企業が労働コストの低い国々に次々に生産拠点を移し、途上国を食い物にするビジネスモデルを崩壊させ、途上国も異なる発展モデルを模索中です。

 18世紀に始まった帝国主義時代は支配と搾取が横行し、特に忌まわしい奴隷制度はあまりにも多くの悲劇を産みました。東南アジアは今でもそれがトラウマになっており、インドネシアはオランダの支配でヨーロッパだけでなく、中南米にまで奴隷を送り込んだ歴史は、そんなに古い話ではありません。

 英仏は、ビルマ(現ミヤンマー)、タイ、マレー半島、インドネシア、カンボジア、ベトナムなどで植民地争奪戦を繰り広げ、その古傷は今でも残っています。文明の優劣という明確な考えを持つ欧州列強の完全に上から目線の支配は、人間や自然を搾取し、グローバルサウスの不信感に繋がっています。

 日本も欧州に刺激を受け、植民地政策を進めたことは、多くの禍根を残しました。21世紀は、かつて植民地時代を経験したグローバルサウスが物を言う時代です。中露と日本を含む西側先進国のグローバルサウス争奪戦が激しさを増しています。

 特に世界制覇に強い意欲を持つ中国、日本を抜き去りたい韓国、台湾は、迅速の意思決定と高いリスクを取ることに恐れを抱かない大胆なアプローチで、アジア市場を席巻し、日本は完全に劣勢に回っています。

 最近では世界的な成長産業の一つ、漫画、アニメ業界で日本はアジア市場から劣勢に回っています。彼らはアジアの拠点づくりを進めた結果、異文化での協業ができず、気が付いたら、台湾、韓国、中国が急成長し、今や日本のアニメ市場にも進出している状況です。

 日本企業の経営陣は戦前戦中世代のように敗戦後の日本の復興に意欲を持つ世代は消え、未だに敗戦のトラウマから抜け出せず、ハングリー精神もなく、大胆で積極的なグローバル戦略を持てない戦後世代に支配されています。

 日本が持続的に発展を継続するためには、グローバルサウスで存在感を示し、共存することは不可欠です。日本企業は労働コストと市場の成長という経済論理だけでなく、新たなネットワークづくりが重要さを増していることを見逃すべきではないと思います。

 そのためには異文化を理解し、彼らの文化を尊重し、その多様性を活かすことで新しい価値を創出することが重要でしょう。さらに上か下かや支配するかされるかではなく、協業して価値を創出する地道な作業が持続可能な発展に繋がることを意識すべきでしょう。




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Author:artworks21
安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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