ゼロベース思考から検証まで 新しい価値創造が成果に繋がるまでのプロセス

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 過去にとらわれないユニークで新しいアイディアが求められる時代、ゼロベース思考とかアート思考が注目されれています。同時に前例のないアイディアが成果に結びつくかは、時間と予算、人材を費やした結果の行方は当事者にとっても経営者にとっても気になるところです。

 まずはゼロベースで考える環境を得るために必須といわれるのが多様性です。例えば、プロジェクトに取り組む環境として文化の異なった人々、つまり、国籍や人種の異なった人間が集まるとゼロベースで考える土壌ができやすいと言われます。

 アメリカの多様な人種の土壌が競争力のある製品やサービスを生み出してきました。今はその効果が科学的にも実証され、人種は同じでも世代やジェンダー、専門知識などの多様性が利用されたりしています。新興企業が、新しいアイディアを生み出すのが得意な若者を起用し始めたのは1980年代からでした。

 個人的には1990年代からフランスに生活の拠点を移して感じたのは、ヨーロッパ人の精神の老化でした。ギリシャ、エジプト、ローマの時代から完結性の高い文明を誇示してきたヨーロッパは、新しいアイディアを産むのに苦労していました。そもそも新しいものを受け入れる土壌もありませんでした。

 今はグローバル化の波に抗せず、受け入れていますが、例えば30年前、コードレス電話は普及していませんでした。むしろ、電話が掛かって来ても、自分の時間が優先されるので電話に出ようともしないのが普通で、どこでも電話できる機能は便利に感じなかった人も少なくありませんでした。

 便利に対する姿勢は極めて慎重で、自分のライフスタイルは完結しており、新しいテクノロジーが自分の生活を変えることに抵抗がありました。逆に言えば、不自由を感じていなかったわけで、逆にその余裕が羨ましくもありました。

 しかし、精神の老化は競争力を高める新しいものを生みだすことには繋がりません。文明はそもそも新しいものを生み出す能力に支えられていました。今は日本人も精神の老化局面にあるのかもしれません。(政治はそれを物語っています)

 それはともかく、ゼロベース思考のプロセスは一般的に「WHY}(なぜ)という問いから出発します。同時に重要なことは他の人の意見を傾聴する姿勢で、これは成果を出すために一貫して必要なコミュニケーションスキルです。WHYが一定の答えに達すれば、目的が明確化します。(この段階が日本では軽視されがちです)

 次はゴールの設定、つまり目標設定です。ここではWHYで明確化した目的をHOW(どう実現するか)の実現可能な目標設定を行うためのデータ活用が需要です。(これも日本では軽視されがち) 計画された機能がすべてプロジェクトに実装できるとすれば実現可能という事です。

 やみくもに実現不可能な目標を立てる傾向の強い日本では、実際にプロジェクトに携わる人間に不必要なプレッシャーを加え、仕事の効率性や生産性を奪ってしまいます。結果として目標だけでなく、目的も奪ってしまいます。大リーグの大谷翔平は目的と目標を明確化する過程で、データ活用し、科学的に取り組んでいると言われています。

 つまり、製品やサービスを提供する客観的にみて能力があり、それを受け入れてくれる市場が存在することを確認することです。これでプロジェクトをスタートできる条件が整ったように見えますが、それが有効かを検証する作業が残っています。定義が弱ければスタートできません。

 検証の結果、顧客セグメント仮説の精度が低く、具体性も低いとなれば、もう一度最初からやり直しです。実は検証が手薄なために、最終的に成果に繋がらないケースは非常に多いのが現実です。ここで「調整」を柔軟に行うことが問われます。この部分は日本は得意といえるかもしれません。

 そして、導入された後に、何がうまくいかなかったのかを確認するための振り返り、つまり、本当の検証を行うことで、さらに変更を加え、進化させることになるわけです。ゼロベースから発想する場合、それを成果に繋げるためには長い道のりがあるわけです。




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Author:artworks21
安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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