英国金融業界の高額ボーナス阻止困難に

 金融機関の倒産回避のためにリーマンショック以降、各政府は多額の税金を投入して救済を図ってきました。英国政府は、巨額の救済資金の注入があった金融機関で、庶民感覚とかけ離れたボーナスが支給されることは阻止すると言っていましたが、どうやら難しいようです。

 政府は銀行幹部などが高額の報酬を受け取っていないか、金融機関は景気回復に貢献しているかなどをチェックしてきたようですが、どうやら高額ボーナスの支給を止められない情勢だとBBCが伝えています。

 2年前に何千億ポンドもの公的資金で救済された金融機関が、ボーナスだけでなく、確実に毎月支払われる基本給与も上積みされてきたとBBCは指摘しています。専門家の指摘では、基本給自体がこの2年間で20~40%も増えているともいわれています。

 無論、金融機関の不振は国の税収を減少させ、経済に悪影響を与え、結果として不況に苦しむのは一般庶民なのだから、しっかり仕事をしてもらう必要があるという理屈もあります。また、金融機関の主張は優秀な人材をつなぎ止めるためには高額報酬はやむを得ないとの主張もあります。

 しかし、ここにきて最も困惑しているのは、金融機関の高額役員報酬は阻止すると公約した与党・自由民主党のクレッグ副首相です。こういうことが起きるので連立参加にはリスクが伴うわけです。

 無論、金融機関側も国民の批判をかわすために、現金での報酬の支払いよりもストックオプションなど自社の金融商品での支払いに変化しています。中小企業への低い金利での貸し付けを積極的に行うのも国民感情を和らげる目的もありますが、その一方で政治家たちは、経済に対しての無力感を感じているのが実情です。 
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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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