ストロスカーン氏逮捕でIMF専務理事、次期フランス大統領の行方は?

国際通貨基金(IMF)は、ストロスカーン専務理事の性的暴行容疑での逮捕で、後任人事に予想外の展開も予想されそうです。同時に来年行われるフランスの大統領選挙も、左派の候補者選びが混戦状態に陥りそうで、大揺れ状態です。

 

IMFの次期専務理事選びは、ストロスカーン氏がフランスのラガルド財務相の就任を画策していましたが、フランス人を選ぶことは難しくなるとの見方が強まっています。フランスが国際機関にトップを送り込むことに固守するのは、「ルールを決める支配者が最大の利益を得る」という考えを持ち続けているからに他なりません。

 

しかし、前代未聞の国際機関の長の性的スキャンダルで、長らくトップの職を維持してきた欧州の地位そのものが脅かされる可能性がでてきました。ホテルという密室での出来事ですから、証拠不十分で無罪となっても、過去一度や二度ではない不倫問題の行状からすれば、2012年の任期終了を待たずに、交代することは必至でしょう。

 

15日には、米国人のリプスキー筆頭副専務理事を当面の専務理事代行とすることをIMFは決定しましたが、彼は今年8月に任期満了を迎え、退任することを表明しています。リブスキー氏は日米にとっては、心象がいいと言われてきましたが、欧州にとっては抵抗感もあり、いずれにせよ、専務理事と副専務理事の二つのポストが空席になる可能性が高まっています。

 

 ここで密かにIMFのトップを狙うのが、中国ではないかと言われています。2007年のストロスカーン専務理事就任以来、IMFでの投票権では中国が3位を獲得しています。今回のギリシャの財政危機に端を発したユーロ圏の財政危機でも、中国は武器禁輸解除を条件に、経済支援に協力的姿勢を見せています。

 

札束で覇権を狙う中国が、国際機関の主導権を握ろうとするのは当然の流れでしょう。ストロスカーン氏は、中国を始め、インドやブラジル、ロシアの国際的発言力が増していることを容認してきましたし、中国への警戒感はアメリカほど強くはありません。

 

 ですが、欧州首脳は、ストロスカーン氏が欧州の財政危機に対して、適切な処置をとってきたと高く評価しており、次期専務理事も欧州からの選出を願っています。しかし、国際的な重要度を増すIMFを考えると、さまざまな国の思惑が交錯し、激しいポストの争奪戦が起きるのは避けられないでしょう。

 

一方、フランスの次期大統領選では、右派は現職のサルコジ大統領に加え、政敵でもあるドビルパン前仏首相の名が上がっています。無論、人気の高い極右国民戦線のマリーヌ・ル・ペン女史も注目されています。一方、左派は、ロワイヤル女史、マルティン・オブリ社会党第一書記、さらにはオランド元社会党第一書記などが、社会党公認候補選びで、激しい戦いを繰り広げそうです。

 

ストロスカーン氏の政治生命が絶たれそうな状況の中、IMF、フランスの次期大統領選挙共に、一挙に混戦状態になりそうです。 

 


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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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