EUのイスラム教受容は簡単ではない

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  欧州連合(EU)内のイスラム教に対する扱いは、国ごとに温度差があり、状況は複雑です。たとえばオーストリアのような小国では、極右勢力が常にイスラム教を攻撃材料にして支持を集めています。ドイツでも政府の建前とは別に、ネオナチも健在ですし、トルコ移民への差別がなくなったなどという話はありません。

 フランスは、今年4月からイスラム教徒の女性が頭部を含む全身を覆うブルカやニカブといった伝統衣装を公的な場で着用することを禁じています。最近、違反者に罰金刑も言い渡されています。英国では、イスラム教をテロの温床と見る世論は消えていません。8月の暴動で、アラブ系移民の若者が騒動に一端を担っていたのもイメージを悪くしています。

 北アフリカのモロッコに近いスペインには多くのアラブ系移民がいて、実際に鉄道や空港で死者を出す爆弾テロを実行しており、スペイン国民は好意的とはいえません。それに歴史的にイスラムに支配された過去を持つスペインとしては、今の状況は複雑といえます。

 しかし、イスラム教徒の言い分は、まったく違った観点を持っています。たとえば、過去、スペインがイスラムに支配されていた時代、彼らがピレネー山脈を越えて、フランスに入ろうとして阻止されたことを、今でも残念がっているイスラム指導者の在仏のイマムを知っています。彼曰く、「あの時、ピレネー越えができれば、ヨーロッパは多文化をスムーズに受け入れられたのに」というわけです。

 現在、EU内には、モスクが毎年のように増えています。ドイツ人の友人曰く「ヨーロッパ人は信仰心がどんどんなくなっているから、イスラム化されるのは時間の問題だな」と悲観的です。無論、イスラム教徒にとっては明るい話ですが。



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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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