民意の読み間違いは政治家にとって致命傷

  
G7-Summit-leaders
         
イタリアのG7サミット2017に集まった世界の首脳

 リーダーにとって状況を正確に把握、分析し、判断を下すことは最も重要な仕事です。状況把握を間違えば、そもそも正しい判断に繋がることはありません。

 今は政治においてもビジネスにおいても、そこが非常に難しくなっています。メイ首相は総選挙の前倒しという賭けに出て、保守党が過半数を割り込み厳しい結果になりました。判断の間違いです。

 英国は昨年6月のEU離脱の是非を問う国民投票でもキャメロン首相(当時)が勝算があって実施したにも関わらず、結果は逆の離脱でした。

 選挙や国民投票の実施、政策決定においては民意を読むことは非常に重要です。不十分な分析はマーケティングをしないで製品を市場投入するのと同じです。

 メイ首相、キャメロン首相ともにアッパークラスのエリートです。階級制の強い英国で、彼らはたびたび、庶民感覚のなさが指摘されます。

 政治家は、高い理想にもとづく政治信条と優れた政治手腕が必要ですが、その政治手腕には民意を読む能力が含まれます。

 それは、どこかの国のように法律より国民感情を優先させるという意味ではなく、国民を正しく導くには現状把握は必須だからです。

 グローバル化という国民の理解を超えた状況が押し寄せる世界では、政治家が国民にその状況を理解してもらい、納得させるのは大変です。

 しかし、民主主義である以上、選ぶ権利は国民が握っている。政治の基本は全ての国民を幸福に導くことです。

 フランスも1997年に保守政権が政治基盤を強化しようとして総選挙を前倒しし、左派の社会党に与党の座を奪われたことがあります。当時、それを決断したアラン・ジュペ首相は頭のいいエリートでしたが、世論を読み誤った。

 内政重視の時代に突入した世界ですが、世界中で政治不信の蔓延が長期化しています。民主主義が機能不全に陥りつつあるとも指摘されています。

 イデオロギーの時代から、民族主義や人種、宗教、ポピュリズムが政治に影響を与える時代ですが、現状の正確な把握、分析は政治の基本です。

 英国もそうですが、政治エリートは官僚と同じレベルの仕事しかできておらず、国民の心を掴む指導者が表れていません。

 ビジネスも同様で、つまらない頭だけのエリートが支配し、優れた感性を持つ人材が活かされていない現状が企業を弱体化させています。


関連記事

プロフィール

artworks21

Author:artworks21
安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

カレンダー

04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索フォーム

QRコード

QR