好奇心こそグローバルビジネスを成功に導く鍵

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 最近、世界の誰もがその名を知っている日本の大手メーカーでグローバル研修を行いました。その企業は1970年代には海外進出し、アメリカやヨーロッパで製品が認知されるようになったメーカーで、私が教鞭をとったフランスのビジネススクールでも、学生の憧れの的でした。

「世界で製品が認められなければ成功はありえない」というコンセプトで新興企業でありながら、世界に打って出て成功した日本のメーカーはいくつかありますが、その一つでした。商社に頼らず、世界で独自に販売網を確立し、生産拠点も拡げてきました。

 そんな企業も韓国や中国、台湾の新興企業に市場を奪われ、ブランド力だけでは商売できなくなり、海外で苦戦が続いており、研修の運びとなりました。受講者には海外経験豊かな社員もいて、休憩時間の雑談の中で海外に駐在中、どんな食事をしていたのか聞きました。

 受講者の多くは男性でしたが、ほとんどの人が日本食か中華と言っていました。今、多くの海外駐在員は家族帯同で行っても、子供の教育等の事情もあり、2,3年で家族は日本に引き揚げ、単身赴任化している例が多いため、自炊よりは外食が多いのが実情です。

 そうすると日本人の舌に合う日本料理屋か中華料理屋に行くことになるのは理解できるですが、試しに現地の料理を食べたいと思わないのかと聞くと、顔をしかめる例が多いのが実情です。それもフランスやイタリアなど世界的にも食べ物が美味しいと言われている国でも事情は同じです。

 これは特に男性に多く、女性の方が現地の文化に興味を持ち、積極的に食べてみようという姿勢が見受けられます。実は相手の国の文化理解に積極的でない姿勢は、現地のナショナルスタッフに悪影響を与えている例が少なくありません。なぜなら彼らの文化に対する無関心は、彼らへの無関心に繋がるからです。

 海外での人材管理で苦戦する日本企業は非常に多いのですが、その原因の一つが文化への無関心です。極論すれば、この態度は相手に敬意を払わない失礼な態度であり、相手も人間ですから文化や発想の違いに関心を示さないで仕事だけすることはできません。

 海外で成功する人の多くは、好奇心の塊です。何か違和感を感じた時に、その背後に何があるのか好奇心を持つ人と持たない人では、成果に大きな差ができるという話です。ところが、自分は丸ごと日本人のままで、異なる文化にはまったく無関心という海外駐在員は少なくありません。

 無論、相手を知る前に自分を客観視して自分の文化を相手に説明できることも重要です。己を知ることがオープンマインドになる最も早道だからです。同時に相手の文化を理解したいという姿勢は、相手に好感を与え、人間関係を円滑にすることに繋がります。

 世界で知られる日系グローバル大企業でさえ、相手の文化に無関心なまま海外で業務を続けてきたことに驚きを禁じ得ません。無論、完全に相手の文化に染まるのも問題ですが、実は日本人は強靱な日本文化を持っているので簡単に染まってしまう心配もありません。好奇心を持つことはグローバルビジネスの成功の鍵の一つと言えるでしょう。

 

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プロフィール

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安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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