公共サービスの質はどこがいいのか

世界同時不況と言われる昨今、公務員という職業の人気が上昇中ですが、その一方で公務員の評価そのものは、けっしていいとは言えません。フランスの公務員は欧州の中でも突出して悪いと言われますが、特にひどいのは、役所のカウンターで働く人だと言われています。



 



ベルサイユの県庁舎で、滞在許可証の更新時に、ひどい経験をしたことがあります。毎朝、相当混むと言われたので、9時に開くのに7時に行って玄関で並びました。20番目の番号札をもらったので、なんとか午前中にかたがつきそうだと思い、待っているとショッキングな光景に遭遇しました。



 



呼び出し用番号札を持っていた職員が、突然、トランプをくるように札を繰り始め、最初に呼ばれた番号は、55番、2番目に呼ばれた人は38番といった具合だったのです。これでは朝早く並んだかいは何もありません。おまけに一枚でも書類が揃っていないと「2カ月後のこの日にもう一度来てください」という具合です。



 



国鉄の職員も、10人以上カウンターの前に客が並んでいても、「帰る時間ですから」とか「休憩時間ですから」とか言って、平気でカウンターを閉めてしまいます。これには完全に慣れてしまいましたが、お客も自分の番が来ると、やおらバッグから手帳を出し、長々と話が始まり、職員は呑気に話を聞いています。



 



ロンドンのパディントン駅で、ある実験をしてみました。フランス人客のようにカウンターでのらりくらりと質問を始めると「後ろにお客様が待っていますから、手短に」と言われました。日本のようだなと思いましたが、それでも、しつこく質問すると「私はあなたの話を忍耐強く聞くほどの給料はもらっていない」と言い出しました。



 



このせりふ、パリでも聞いたことのあるセリフです。「切符が売れようと売れまいと私の給料は同じだ」というセリフです。英国の鉄道は民営化されていますが、公務員根性は抜けていないようです。フランスでは最近、行政サービスの向上を政策に掲げ、ある程度改善されましたが、サービスそのものの考え方が日本とは根本的に違うのです。


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プロフィール

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Author:artworks21
安部雅延(あべ まさのぶ)
フリーの国際ジャーナリストで、フランスのビジネススクールで長年教鞭を取り、日産自動車始め多数の大手企業でグローバル人材育成を担当した安部雅延が、国際情勢やグローバルビジネスの最前線を紹介し、豊富な経験を踏まえた独自の視点で世界を読み解くグローバルトーク。

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